補聴器を買ったばかりのお客様から、「この補聴器は雑音がするぞ!」と怒りの電話があり、「申し訳ありません」と訪問した時の話です。
そこには、怒りを隠す気もない息子さんが同席されており、親子二人、怒りの表情で私を見ておられました。
居間に通され、「補聴器はめたらずっと雑音がしてるぞ。」と本人からお怒りの声を頂きます。私は「申し訳ありません、どんな音が聞こえてるんでしょうか?」と謝罪して、何が起きてるのかを探ってみました。すると、「コツコツコツコツ、ずっと言ってる!」との答え。。。
原因に検討がついた私は、お客様を連れて隣の部屋へ行き、「今雑音しますか?」と確認、「いや、聞こえない。」と。そして居間に戻って、「今雑音しますか?」と確認、「コツコツいってる」と。
居間には大きな柱時計があり、コツコツと大きな音がしていたので、それが原因でした。お客様は今まで柱時計の音が聞こえていなかったので、柱時計が音を立てる事をすっかり忘れておられました。補聴器つけた途端に聞こえてきたので、雑音だと判断されていた様です。
息子さんからしたら、「自分にはいつも聞こえていて、もはや気にも留めない柱時計の音」の事だとは想像もついておらず、「え?雑音ってこれのことだったの?」と驚いておられました。
お客様に「それ、この音です」と柱時計を指さして説明した後の、息子さんの変化が忘れられません。怒り心頭の表情で迎えられたのに、速攻で「わざわざこんな事で来てもらって、すいませんでした。」と謝られたのはなかなか衝撃的。「私も説明不足でしたので問題ありません」と謝罪しましたが、しばらくお互いが謝罪しあう、平和な空間になりました。
熊本店 小坂